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本試験では下記の耐航性要素を計測した。
?6自由度動揺(前後揺、左右揺、上下揺、横揺、縦揺、船首揺)
?上下加速度(S.S.7 1/2及びS.S.4)
?波浪中抵抗増加
?波高(定置及び出会い)
上下加速度は船体前方のS-S.7 1/2と中央付近のS.S.4の右舷船側に歪みゲージ式加速度計を設置して計測した。
2)試験内容
試験は全て規則波中で行い、正面向い波(x=180°)、斜め向い波(x=135°)、横波(x=90°)、斜め追い波(X=45°)、追い波(x=0°)の5方向の波向きについて計測した。波高は実船で2m相当の5cm、波長/船長は0.3〜3.0の範囲とした。船速は実船で20ノット相当の1.6m/s(Fn=0.33)で行った。
3.2.3 試験結果と考察
1)船型改良の効果
図3.2.1-4〜9に原型と改良船型の試験結果を示す。各図中には試験結果に加えて、各船型の理論計算値も示してある。各回の横軸は波長/船長であり、縦軸は各応答を波振幅を用いて無次元化した応答値である。
図3.2.1-4と5は正面向い波中の上下揺と縦揺である。波長/船長>1.5では原型と改良船型の試験結果は破線と実線で示した計算結果ほどの差は見られず、概略同程度の応答となっている。波長/船長<1.5では、縦揺の改良船型の応答が小さく、上下揺では波長によって両船の応答の大小が入れ替わっている。ここでは省略したが斜波および追い波中の縦揺と上下揺は原型と改良船型でほぼ同様の応答であった。このように、上下揺と縦揺では、波長/船長<1.5の短波長域の縦揺で改良船型の動揺低減効果が見られたが、長波長域では理論計算で得られた動揺低減効果を見いだすことはできなかった。
図3.2.1-6に示す横波中の横揺については、KGを同一にしてGMが変化したことによる固有周期の変化の影響が表れている。改良船型は水線面積が増加してKMが大きくなったためGMも大きくなり固有周期が原型より短い。このため斜め向い波中と横波中で改良船型の横揺が原型より大きい波長の範囲が広く見られる。図示は省略したが、斜め追い波中では出会い周期が他の波向きより大きくなるため向い波中や横波中と逆になり改良船型の横揺が広い波長範囲に渡って原型より小さくなっている。
図3.2.1-7は正面向波中S.S.7 1/2の上下加速度の計測結果である。応答が最大を示す波長/船長以下の短波長域で特に改良船型の応答が原型より小さくなっている。長波長域では両船の差は小さい。船体運動の面では上下揺に差が見られず縦揺の短波長域で改良船型の応答が原型より小さくなった。S.S.71/2の上下加速度については縦揺の影響が相対的

 

 

 

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